理系の雑学・豆知識

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物質のバンド構造(バンド理論)について解説

 

エネルギーバンド(Energy Bands エネルギー帯)

  パウリの排他原理は「2つ以上のフェルミ粒子が、全く同一の量子状態を持つことはできない」ので、フェルミ粒子である原子が持っている電子は特定のエネルギー状態しかとりえないのですが、特に、結晶体を構成する金属原子(周期表参照)の場合、電子(価電子)を放出して正電荷を持つた原子となり、放出された電子(自由電子)は結晶全体に拡散し、結晶内を自由に移動することによって、原子が相互に結合する力(交換力)を生じさせている結晶方式(金属結合)です。このような結晶では無数の原子が結合したことで電子の通り道(概念としてはある地点を出発して元の位置に戻るのが電子軌道であると仮定する)は無数の軌道を共有することになり、電子が通りうる軌道の種類が無数に多くなることになります。電子のエネルギーは軌道の大きさに関係することから、電子のエネルギーも無数のエネルギー値を取ることができるようになります。

 そのため、電子の取りうるエネルギー(electron energy states)には飛び飛びの「値」ではなく連続したある幅(バンド Band)が生じ、この領域をエネルギーバンド(エネルギー帯)といいます。

 

エネルギーギャップ(禁止帯Energy gap、バンドギャップBand gap、単にギャップgapともいいます)

  原子の構造から電子の存在できないエネルギーの領域があり、それはある幅(禁止帯)があります。

 結晶中でも電子のとり得るエネルギーはいくつかのエネルギーバンド(エネルギー帯)に限られ、電子が取ることのできないエネルギー領域をエネルギーギャップ(禁止帯)といいます。

  絶縁体(または半導体)の場合は価電子帯の頂上から、伝導帯の底までのギャップが、エネルギーギャップ(禁止帯)です。

 

充満帯 (filled bands)

  原子に含まれる 電子の数は、結晶を構成する原子の種類によって決まりますが、電子は低いエネルギー状態のバンドから順にエネルギー帯を占めていいきます。シリコーンの場合は一番内側に2個、2番目のバンドに8個、3番目に4個の電子が入っています。

  既に電子が充満しているエネルギー帯のことを充満帯といいます。

 

価電子(Valence electron)

 原子が化合物、結晶等になる場合の化学結合は、その原子内の核外電子が深く関わっています。 但し、原子内の各軌道を回る電子で化学結合に深く関わるものと、ほとんど影響しないものがあります。 化学結合に関わる電子は、原子内の最外殻など外側を回っている場合がほとんどで、これらを価電子といいます。

 

価電子帯(かでんしたい、valence band)

 価電子が結晶の特性や化学的な性質に大きく影響しますが、この電子が占めるエネルギー帯を価電子帯(valence band)といいます。

 

フェルミレベル (Fermi Level フェルミ準位)

 価電子帯の最高のエネルギー状態をフェルミ準位(電子の存在確率が1/2になるエネルギー)いいます。

 

伝導帯 (Conduction band)

 フェルミ準位の直上にある空のエネルギー帯のことです。 電気伝導に大きな影響を持ちます。

 導体の場合は結合した状態で、結合に関与しない電子(自由電子)でき、伝導帯を電子が自由に移動できますが、絶縁体、半導体は結合した状態で結合に関与しない電子(自由電子や電子が不足した状態(正孔))が無く、従って、伝導帯に電子が無く電子は自由に移動できません。しかし、半導体の場合は価電子帯の上のエネルギーギャップが狭く温度などの変化で容易に電子がエネルギーギャップを飛び越えることができます。

 

 これらの構造をバンド構造といい電気的な特性に大きく影響します。

 

導体のバンド構造

 金・銀・銅などの結晶は金属結合した場合、閉殻の外側に1個の電子を持っていて、この電子が自由に動きまわる(自由電子)ことができることから、電圧をかけると電子が電圧にしたがって移動する(電流が流れる)ことから電気を通しやすく導体とよんでいます。

 

不導体のバンド構造

 閉殻の外側に電子を持っていないものは、電子に占有された最も高いバンド(価電子帯)の頂上から、上部の伝導帯までのエネルギーの差(バンドギャップ 禁止帯)が広く周囲の電界や温度によって電子がエネルギーをもらっても上の伝導帯にまで電子が飛び上がることができないことから(電子自由電子が無)電圧をかけても電流が流れることはありませんので不導体(絶縁体)といいます。

 

半導体のバンド構造

  一方シリコンやゲルマニュームのように電子に占有された最も高いバンド(価電子帯)の頂上から、最も低い空のバンド(伝導帯)の底までのエネルギーの差(バンドギャップ 禁止帯)が狭く(絶対零度においてシリコンでは約1.09eV、ゲルマニュームでは約0.72eV)周囲の電界や温度によって電子がエネルギーをもらうと容易に上の伝導帯に飛び上がることができる電子(自由電子)があることから、電気を通す性質が環境によって敏感に変化します。このような性質を持つものを導体と不導体の中間に位置することから半導体といいます。

 

バンド構造(Band structure, Electronic band structure)