理系の雑学・豆知識

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オームの法則とはなにか

 電圧は電子を押し出す圧力に相当し、電圧が高いほど電流が多く流れます。
抵抗は電子を流しにくくする働きのことで、抵抗の大きさは物質の種類に特有の値を持ち、通過面積に反比例し、長さに比例します。

V 電圧(V;ボルト)

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 R 抵抗(Ω;オーム)、I 電流(A;アンペア)

 

オームの法則(Ohm's law)の発見による説明

 オームは電流に関する研究を、先に熱伝導についてフーリエが提出した理論からの類推によって行いました。オームは、電圧の違いによって起電力が生じることを、温度の違いによって熱の伝導が起きことになぞらえ、この仮説に基づいて長さや太さの違う針の中を電流が伝わって行く様子を調べたのでした。電流を測定することに関しては既にアンペールによって正確な測定法が確立されていたので、その方法を用いて実験を正確に行ない、電流の強さは針金の断面積に比例し、針金の長さに反比例することを確かめました。さらにその針金に特有の抵抗は簡単な式 E=IR で示せることを確立したのです。ここでEは起電力、Iは電流の強さ、Rは抵抗の大きさです。

電気伝導

電気伝導(Electrical conduction)

 電荷を持つ粒子(電子等)の移動することを電気伝導といい、電荷の流れが電流です。

 一般に、電流は電荷を持つ電子の流れですので、導体内の電界によって電子が加速されますが、電子の移動速度は原子や格子欠陥の部分で相互作用によって減少します。従って、 導体内部を移動する電子の全体的な速度は平衡状態(等速度運動)になり、この電子の速度の平均値を平均移動速度(ドリフト速度)といい、これによって単位時間内に電子(電荷)が移動する量が決まることで電流の値が決まります。(詳細は 金属の電気伝導の機構 を参照してください)

電気伝導体(導体electric conductor)

 電気を通しやすい材料、すなわち電気伝導率(導電率)の高い材料である。良導体、単に導体ともいいます。
電気伝導率は、物質によって値が異なり、その範囲が広い物性値です。金属からセラミックまで20桁ほど幅があり、一般には導電率がグラファイトと同等以上のものが導体、ガリウム砒素ぐらいまでが半導体、それよりも低いものを不導体(絶縁体)と分類しています。

電気抵抗

電流の流れ難さのことで、単位はオーム(ohm Ω)。

 

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 R =ρL/S
  R : 電気抵抗(Ω)
ρ: 電気抵抗率(Ω・m)
L : 導体の長さ(m)
  A:導体の断面積(m2)

電気伝導率

 

電気伝導率(電気伝導度、導電率electrical conductivity)
 物質の電流の流れ易さを表す。単位(ジーメンス毎メートル [S/m])。記号(σ)。

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  j:電流密度(1㎡を垂直に流れる電流)
  E:導体内の電界
  n:自由電子の密度
  m:電子の質量
  τ:平均衝突時間(ある原子と相互作用してから次の原子と相互作用するまでの平均時間)
  ρ:電気抵抗率

 

抵抗の温度依存性

抵抗の大きさは常に一定ではなく、室温近くでの一般的な金属の電気抵抗はその物体の温度が高くなると僅かですが上昇します。 

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σT’:電気伝導率(electrical conductivity基準温度T’)
σT:電気伝導率(温度T)
α:温度係数(temperature compensation slope of the material)
T: 温度(絶対温度absolute temperature)
T’:基準温度(絶対温度)

温度係数の例

金属名
温度
抵抗ρ
温度係数α
(℃) 
(10-8Ωm)
(10-3/℃)
20
1.72
4.3
20
2.4
4.0
20
1.62
4.1
アルミニュウム
20
2.75
4.2
20
9.0
6.6
タングステン
20
5.5
5.3
1000
3.5
 
ニクロム
室温
110
0.03~0.4
マンガニン
室温

34~100

-0.03~0.02

 

デュロン-プティの法則(Dulong-Petit law)

デュロン(Pierre Louis Dulong) もプティ(Alexis Therese Petit) もフランスの科学者で、この法則は独自に1819年に発表されました。
 「原子の数が同じなら比熱は同じ3NkB」(デュロン-プティの法則)N は原子の数,kB はボルツマン定数。
 1モルの理想気体において、ボイル=シャルルの法則より、次式(P:圧力、V:体積、T:絶対温度) は一定に保たれる。

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 この定数が気体定数Rです。アボガドロの法則(分子量と同じグラム数の気体が含む分子の数がアヴォガドロ定数)より、定圧定温下では体積は物質量に比例するから、n モルの場合
1 mol あたりの原子数であるアボガドロ数NAとボルツマン定数kB の積は気体定数Rに等しいことから、[ R = NA×kB ] となります。
 この関係をデュロン-プティの法則に代入すると、1 mol の原子の比熱は3Rで、比熱は温度に依存しないことになるのですが、実際には低温での比熱の値が小さくなることが確認されてきました。

その後1871年にルートヴィッヒ・ボルツマンがエネルギー等配分の法則より理論的な説明を与えました。

 

ヴィーデマン-フランツの法則(Wiedemann-Franz law)

1853年にグスタフ・ヴィーデマンとルドルフ・フランツGustav Wiedemann and Rudolph Franzは熱伝導率と電気伝導率の比は金属の種類に拠らず一定で温度に比例することを発見し、発表したのがヴィーデマン-フランツの法則(Wiedemann-Franz law)です。これは金属では熱の伝わり方と、電気の伝わり方に何らかの関係があることをしめしたものです。

 

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マーティセンの法則(Matthiessen's Rule)

1864年にマーティセン(Augustus Matthiessen)は金属の抵抗ρが温度に依存しない抵抗ρiと温度(格子振動)に依存する抵抗ρ(T)の和から成り立つことを発見しました。

 

超伝導現象の発見

1911年にカメルリング・オンネス(Heike Kamerlingh Onnes)は水銀を液体ヘリウムで冷却して温度4.19Kでは電気抵抗がほぼゼロになる超伝導(Superconductivity)を現象を発見しました。

 

 

デバイモデル(Debye model)

1912年にピーター・デバイにより考え出されたデバイモデルは、低温における比熱が絶対温度[T]の3乗に比例する比熱の温度依存性を予言していて、デュロン=プティの法則も正しく説明することができました。

 

グリューナイゼンの法則(Gruneisen Low)

  グリューナイゼンは格子振動による熱伝導の式に準えて、電気抵抗に関するグリューナイゼンの式(Gruneisen Low)を提案し、デバイ温度以上では、電気抵抗はTに比例し、デバイ温度以下の極限の低温ではTの5乗に比例し、抵抗は温度が低くなると急激に減少することが推測されました。

 

分子場理論( Molecular-field theory)

 結晶の格子点には原子が存在しますが、その原子はスピンによる磁気作用を持っていて、スピンの向きには上向き(アップ)と下向き(ダウン)があり、結晶全体としては上向きと下向きが同数あり磁気を帯びていませんが、個々の原子はスピンの向きが異なることから、結晶中を通過する自由電子はスピンによる影響を受けることになります。

  このような現象をMagnetoresistance effectsといい、デバイ温度以下では温度と共に増加しますが、デバイ温度以上では一定の値になります。

分子場理論による電気抵抗の温度依存 

 

全抵抗 ρtot =ρo + ρp + ρmag

残留抵抗 ρ0 (温度に依存しない)

ρp 格子振動による抵抗率(ブロッホ・グリューナイゼン(Bloch-Gruneisen)の式であたえられ、常温では温度に比例し、極限の低温では温度の5乗に比例)

磁気による電気抵抗の温度依存性

ρmag =ρmaglm +ρmagsf (デバイ温度以上の温度では温度に依存せず一定の値 ρspd になります)

ρmaglm 分子の内部の磁界による電子との相互作用によるもので、常温では温度に依存しないが、デバイ温度以下の低温で温度に依存します
強磁性体   ρmaglm  Tの2乗に比例 
反強磁性体 ρmaglm  Tの4乗に比例 

スピンによる抵抗率

ρmagsf ∝ AT2, A ∝ S(S is the Stoner enhancement factor)

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