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グロー放電について解説

 グロー放電は低圧(大気圧の100分の1程度)の気体中で生じる持続的な放電現象です。
 放電が持続的に継続するには、継続的に放電電流が流れなければなりません。そのためには、電子が電極から連続的に放出されねばならないのですが、グロー放電では電極間の電流は正イオンが陰極に衝突して電子を放出する2次電子放出が必要です。その電子が加速され気体分子を電離して大きな電流が流れる放電に発展するものです。
 グロー放電の構造は気体の種類、圧力、放電管の形状などにより変化します。

 

気体の圧力を変化させた場合

 

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 直流300V程度の電圧を放電管の両端の電極に接続し、内部の空気を真空ポンプで除去(排気 管内の圧力を下げる)していくと初めの頃にはなんの変化もありませんが、排気が進んでいくと微かなピンク色の薄い光の帯が電極間に発生します。更に排気すると陰極(cathode)の周辺に暗い部分(dark space暗部)が出現し、その幅が次第に増加し、陰極から少しはなれた部分に青みがかった柔らかな光が発生し、ピンクの光の帯は短くなり変動します。更に排気すると、暗部は拡大し、ピンクの光の帯は短くなり陽極近辺のみになり、最終的には暗い部分(暗部)だけになります。そして放電管のガラスが緑色の蛍光(高速の電子がガラスに含まれる不純物原子に衝突して、原子を励起することによる発光)を発するようになります。
 放電管の状態は、大気圧の1000分の1程度の圧力にした空気では、発光がほとんど無い暗部と呼ばれる領域(ファラディ暗部faraday dark space)とピンク色の薄い光を出していて陽光柱(positive columnといい窒素が励起再結合による発光)と呼ばれる二つの大きな領域に分かれます。
 ファラディ暗部は放電に必要な電子を加速する領域で、電子が加速され分子やイオンを励起・電離するにはまだ電子の運動エネルギーが不足しています。
 その陽極側の部分が陽光柱で、電子と正イオンの数がほぼ同じで電気的には中性(プラズマ状態)で電子の平均自由飛程(electron mean free path電子が衝突してから次の衝突までの自由に移動できる平均の距離でこの間で電子が加速されます)が長くなり、分子(窒素)を励起するのに十分な運動エネルギーを獲得できる領域です。 
 放電電流のほとんどを電子が運び正イオンは速度が遅いことから電荷の移動にはほとんど寄与せず、多くの電子は陽光柱の中心部分に多く存在し、そこでは電子と衝突して正イオンは再結合することから、陽光柱の外側のガラス管に近い部分に集中しプラズマを包み込んでいる(プラズマ・シェル)状態になり、電気的な中性を維持する働きがあります。

 

グロー放電の詳細

 

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 電極極周辺を更に詳細にみると放電の状態が一定ではありませんが、一般に陰極側から、アストン暗部、陰極グロー、陰極暗部、負グロー、ファラディ暗部、陽光柱があり、陽極(anode)周辺では陽極グロー、陽極暗部があります。

アストン暗部(Aston Dark Space)はイオンが強い電界によって陰極に衝突して2次電子が放出(2次電子放出)され、正イオンよりも電子が過剰な領域で、その電子が加速されるますが、まだ分子を励起するには電子の運動エネルギーが不足しています。

陰極グロー(cathode glow)は陰極に正イオンが衝突して放出した電子が加速され、中性の原子を電離できるようになり電子が増加し、陰極に近づいて着た正イオンとその電子が結合し基底状態に戻るとき青みがかった光(窒素と酸素)を発生します。電気的のは正イオン密度が電子密度よりも多いく正の電界の領域です。

陰極暗部(cathode dark spaceまたはクロッカ暗部crooke’s dark space)は電子が加速され電離に必要な運動エネルギーを得る領域であり、電子がまだ電離する能力がない領域です。電気的のは正イオン密度が電子密度よりも少し多いく正の電界ですが弱い電界の領域です。

負グロー(negative glow)の領域は陰極グローに比べると長く電界は低くなっていて、オン極側で最も輝いています。この領域では全体の電流の殆どが電子によって運ばれ、その電子は陰極からこの領域までに十分に加速され、中性の原子と衝突して電子を弾き出すと同時に中性の原子がイオン化し(電離)ます。一方、衝突して電子を弾き出すことが出来ない遅い電子は電子密度を増やし、電子が相互に反発することから電子の速度が低下し、正イオンと再結合(窒素と酸素)し、励起状態が元の状態に復帰するときに青みがかった光が放出されます。

ファラディ暗部は陰極側の他の領域に比べ、電圧低下が最も大きく、ここで多くの電力が消費されますが、それは負グロー領域で減速された電子が電離に必要なエネルギーを電子に与えるまで加速する領域で、電子が加速され分子やイオンを電離するにはまだ電子の運動エネルギーが不足しています。

陽光柱(positive column)で、電子と正イオンの数が同じで電気的には中性(プラズマ状態)で電界は電子が中性の原子を電離するのに必要な運動エネルギーを獲得できる領域です。

 陽極では電子が陽極に引き付けられることから、陽極に近づくと電子の運動方向に変化が生じ、プラズマ中でランダムな方向に動き回っていた電子が陽極に引き付けられるので、一定方向に加速され、酸素の分子も電離できるようになります。それが電子と再結合するときに光を発生するのが陽極グロー(anode glow)です。
 陽極暗部(anode dark space)では陽極グロー領域で電子が分子と衝突、再結合して電子の速度が遅くなることから分子を電離できなくなり光が出ない暗部となります。
 グロー放電を利用したものにネオンサインがあります。それに使う色はネオンガスでは赤-オレンジ、ヘリウムガスは黄色、窒素ガスはピンク色、青や緑の色を出す物質がなく、色ガラスで作る放電管に水銀ガスを入れた放電管を使います。