理系の雑学・豆知識

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高分子,天然高分子Ⅰ (糖類)

1)高分子化合物の分類

高分子化合物は分子量が10000を越えるような化合物である。高分子化合物には、炭素原子が中心になって多数の原子が結びついた有機高分子化合物とケイ素原子と酸素原子が多数結びついた無機高分子化合物とがある。

また、高分子化合物のうち、デンプン・タンパク質・天然ゴムのように自然界から得られるものを天然高分子化合物、ポリ塩化ビニル・ナイロン・合成ゴムのように人工的につくられたものを合成高分子化合物という。

 

2)高分子化合物の構成

高分子化合物は、分子量の小さな分子(低分子)が多数結合してできている。この低分子を単量体またはモノマー、生成する高分子を重合体またはポリマーという。

単量体が互いに結合して重合体ができる反応を重合といい、重合体を構成する単量体の繰りかえし数を重合度という。また、2種以上の単量体が重合することを共重合といい、生じる高分子を共重合体という。高分子化合物には、主に2種の重合反応が利用される。

 

付加重合・・・エチレンや塩化ビニルのように不飽和化合物(炭素間の二重結合や三重結合を持つ化合物)の不飽和結合が、連続的に付加反応を繰り返しながら重合することを付加重合といい、生じた高分子を付加重合体という。

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 縮合重合・・・2つの単量体(モノマー)分子間から水のような簡単な分子がとれる反応を縮合という。縮合を繰り返しながら重合を繰り返すことを縮合重合といい、生じた高分子を縮合重合体という。

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糖類(炭水化物)

1)糖類の分類 

三大栄養素(糖類・タンパク質・脂質)のひとつである糖類(炭水化物)は、単糖類・二糖類・多糖類に分類できる。次にそれぞれの代表的な例を示す。

分類

 代表例

分子式

加水分解によって生成する単糖

多糖類

デンプン

セルロース

(C6H10O5)n

 

グルコース

グルコース

二糖類

マルト-ス(麦芽糖)

スクロース(ショ糖)

セロビオース

C12H22O11

グルコース+グルコース

グルコース+フルクト-ス

グルコース+グルコース

単糖類

グルコース(ブドウ糖)

フルクトース(果糖)

C6H12O

 

 

 デンプンを希塩酸または希硫酸と加熱すると、加水分解が起こり、グルコースが得られるが、これ以上加水分解されることはない。グルコースのように、これ以上加水分解されない糖類を単糖類という。したがって、単糖類は糖類全体を作り上げる基本単位として考えられる。

 また、マルト-スのように、加水分解によって単糖2分子を生じるものを二糖類という。さらに、デンプンやセルロースのように、加水分解によって多数の単糖分子を生じるものを多糖類という。



2)単糖類(グルコースとフルクト-ス)

グルコース(C12)はブドウ糖ともよばれ、天然に広く存在する。α-グルコースは水に溶かすと、一部は鎖式構造を経てβ-グルコースを生じ、これら3種のグルコースが一定の割合で混ざった平衡状態になる。鎖式のグルコースにはアルデヒド基があるため、グルコースの水溶液は還元性を示し、銀鏡反応やフェーリング液を還元する。

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フルクトース(C12)は果糖ともよばれ、水に溶けやすく、甘味がある。グルコースの構造異性体で、蜂蜜やいろいろな果実に含まれている。フルクトースは水溶液中では六環構造・鎖式構造・五環構造が一定の割合で混ざった平衡状態になる。また、鎖式のフルクト-スにも還元性がある。グルコースやフルクトースのように還元性を示す糖を還元糖という。

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(補足1)フルクトースの -CO-CH2OH は次のような異性体が平衡状態で存在し、その中にアルデヒド基ができるため還元性を示す。

 

(補足2)単糖類の簡略した示し方。炭素原子を省略したり、必要な原子以外すべて省略した表し方がよく用いられる。

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3)二糖類(マルトース、セロビオース、スクロース)

 二糖類は単糖類(分子式=C6H12O)2分子から水分子が取れて結合(縮合)した糖類(分子式=C12H22O11)である。

C6H12O6 + C6H12O6 → C12H22O11 + H2O

マルトース:マルトースは麦芽糖ともいわれ2分子のα-グルコースが、1位のOH基と4位のOH基との間でH2Oがとれて結合(縮合)することによってできる。右側のα-グルコースの1位OHが残っているので還元性を示す。

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セロビオース:セロビオースは2分子のβ-グルコースが、1位のOH基と4位のOH基との間でH2Oがとれて結合(縮合)することによってできる。マルトースと同様に還元性を示す。

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スクロース:スクロースはショ糖ともいわれ、砂糖の主成分である。α-グルコースの1位のOH基とフルクトースの2位のOH基との間でH2Oがとれて結合(縮合)することによってできる。この場合、グルコースとフルクトースの還元性を示す構造のところで結合しているので、還元性を示さない。

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☆ グリコシド結合 

単糖類どうしが縮合してできるエーテル結合を、グリコシド結合という。



4)多糖類(デンプンとセルロース(C6H10O5)n 

デンプンおよびグリコーゲン

デンプンは多数のα-グルコースが縮合したもので、米などの穀物に多く含まれている。生物はこのデンプンを摂取し、体内で分解しエネルギー源としている。デンプンにはアミロースとアミロペクチンがある。アミロースはα-グルコースが1位と4位のOH基で結合し、直鎖状に結合する。この結合をα-1,4結合という。一方、アミロペクチンはα-グルコースの直鎖(α-1,4結合)のところどころに枝分かれが生じる。これは、ところどころでα-グルコースが1位と6位のOH基で縮合するためである。この結合をα-1,6結合という。通常の米はアミロースが20~25%含まれ、もち米はアミロペクチンが100%である。デンプンには還元性がない。

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グリコーゲンは動物デンプンともいわれ、動物の肝臓や筋肉に含まれている。生物は体内で必要に応じてグリコーゲンを分解し血液中にグルコースを放出する。グリコーゲンの構造はアミロペクチンと同じであるが枝分かれが著しく多い。



☆ ヨウ素デンプン反応

デンプンはグルコース6個で一回転するような、らせん構造をとっており、その形は分子内に生じる水素結合によって保持されている。デンプンの水溶液にヨウ素溶液を加えると、デンプン分子のらせん構造の中にヨウ素分子が入り込み、青~青紫色を呈する。この反応をヨウ素デンプン反応という。この反応は、ヨウ素分子とデンプン分子の間で、分子間力による弱い結合ができるために起こる。そのため、加熱するとこの結合が切れ、色が消える。冷やすと再び結合して色がつく。色の違いはデンプン分子の直鎖の長さによって生じる。アミロースでは濃い青になるが、アミロペクチンでは赤っぽい色になる。グリコーゲンは赤褐色になる。



セルロース

 セルロースは多数のβ-グルコースが1位と4位のOH基で結合(β-1,4結合)したもので、植物細胞の細胞壁の主成分である。デンプンと異なり、水やその他の溶媒に溶けにくく、繊維として利用される。また、ヨウ素デンプン反応も還元性も示さない。

 セルロースの構造とデンプンの構造を次に示す。(H原子は省略してある)

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 セルロースはデンプンと異なり隣り合うグルコース分子の上下が逆になっている。また、デンプン分子はらせん構造をとるがセルロース分子はらせん構造をとらず、直線状になる。そのため、デンプンはヨウ素デンプン反応を示すがセルロースは示さない。また、平行に並んだ直線分子間にはOH基による水素結合が生じるためセルロースは丈夫な繊維になる。

 

ニトロセルロース

セルロースに濃硝酸と濃硫酸を作用させると分子中のOH基の一部または全部がエステル化(ニトロ化)されて硝酸エステルになる。これをニトロセルロースという。全てのOHがニトロ化したものがトリニトロセルロースである。

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硝酸エステル化の度合(硝化度)により次のような用途がある。

名称

硝化度

用途

   性質

強綿薬

13%以上

無煙火薬

乾燥すると爆発性がある

弱綿薬

10~13%

ダイナマイト、クラッカー

    〃

脆綿薬

10%以下

セルロイド

爆発性なし

 

アセテート

セルロースに酢酸と無水酢酸、および少量の濃硫酸を作用させるとエステル化(アセチル化)されてトリアセチルセルロースができる。(硫酸は触媒、酢酸は溶媒として働いている)

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 トリアセチルセルロースは分子中のOH基が完全にアセチル化されているため、溶媒に溶けにくい。そこで、水を加え約50℃に保つと、エステルの一部が加水分解されて、アセトンに可溶なジアセチルセルロースが得られる。このアセトン溶液を細孔から暖かい空気中に押し出して乾燥すると繊維ができる。この繊維をアセテートという。アセテートのように天然繊維を加工したものを半合成繊維という。

 

レーヨン

① セルロースを濃い水酸化ナトリウムに浸してアルカリセルロースとする。これに二硫化炭素CSを加えるとセルロースキサントゲン酸ナトリウムと呼ばれる赤黄色のゼリー状物質が得られる。これを希水酸化ナトリウム水溶液に溶かすと赤褐色透明のコロイド溶液ができる。これをビスコースという。このビスコースを希硫酸中に細孔から押し出しと繊維状に凝固すると共にセルロースが再生して繊維が得られる。この繊維をビスコースレーヨンという。また、ビスコースを膜状に再生したものをセロハンという。

 

② 水酸化銅(Ⅱ)Cu(OH)2を濃アンモニア水に溶かした深青色溶液( Cu(NH3)4]2+ )をシュバイツァー試薬という。セルロースをシュバイツァー試薬に溶かすと粘性のある液体が得られる。この溶液を細孔から希硫酸中に押し出すとセルロースが再生して繊維が得られる。この繊維を銅アンモニアレーヨンまたはキュプラという。

 

①、②のように天然繊維を化学処理で一度壊した後、成分を再生させ繊維にしたものを再生繊維といい、セルロースの再生繊維をレーヨンまたは人造絹糸という。



5)糖の分解

 糖類は希酸や酵素によって加水分解される。酵素は生体内で産生されるタンパク質で、機能性タンパク質と呼ばれ、特定の物質のみに特異的に作用しその物質を分解したりする。すなわち、1種類の酵素には1種類の反応物質しか存在しない。例えば、マルターゼという酵素は二糖類であるマルトースを加水分解するが、同じ二糖類であるスクロースやセロビオースには作用しない。

 

デンプンの加水分解

 希塩酸や希硫酸などを作用させると、デキストリン(C6H10O5)n(nはデンプンの値よりも小さい)を経てマルトースを生じ最後はグルコースまで分解される。酵素アミラーゼ(唾液中に存在)を作用させると、デキストリンを経てマルトースまで分解される。マルトースは酵素マルターゼ(唾液、腸液に存在)によってグルコースまで分解される。

(C6H10O5)n

(C6H10O5)n'

(C6H10O5)2

C6H12O6

☆n>n'

デンプン

 

デキストリン

 

マルトース

 

グルコース

 

酸で分解

 

アミラーゼで分解

 

 

 

 

 

 

 

マルターゼで分解

 

 

スクロースの加水分解

二糖類のスクロースは希酸または酵素インベルターゼ(スクラーゼ)によって、グルコースとフルクトースの当量混合物になる。この混合物を転化糖といい、蜂蜜の主成分である。スクロースには還元性がないが、転化糖には還元性がある。この酵素は腸液の他、植物、酵母、カビが持っている。

 

セルロースの加水分解

セルロースは希酸を加えて長時間加熱すると加水分解してグルコースになる。また酵素セルラーゼによってセロビオースまで加水分解される。草食動物の腸内細菌はセルラーゼを生産する。

 

アルコール発酵

グルコースやフルクトースなどの単糖類は酵母菌が産生するチマーゼと呼ばれる酵素群によってエタノールと二酸化炭素に分解される。これをアルコール発酵という。