理系の雑学・豆知識

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遷移元素・金属イオンの分離

1)遷移元素について

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    元素

電子殻

21Sc

22Ti

23V

24Cr

25Mn

26Fe

27Co

28Ni

29Cu

K

2

2

2

2

2

2

2

2

2

L

8

8

8

8

8

8

8

8

8

M

9

10

11

13

13

14

15

16

18

N

2

2

2

1

2

2

2

2

1

遷移元素は周期表上で、3~11族の元素である。上の21Sc~29Cuの電子配置を見ると、最外殻(この場合N殻)の電子配置は1個か2個で、1つ内側の殻(この場合M殻)の電子数は、最大数(この場合は18個)になっていない元素がほとんどである。

遷移元素の単体は、融点,沸点が高く、硬いものが多い。密度も大きく、スカンジウムSc以外は全て密度が4g/cm以上の重金属である。最外殻の電子数が等しい典型元素は同族(周期表の縦の並び)で似た性質を示すが、遷移元素は最外殻の電子は全て1個か2個なので、同一周期の隣り合う元素どうしで似た性質を示す。同一の元素でもFe2+とFe3+のように、いくつかの酸化数を示す。また、酸化数の高い化合物は酸化力が強く酸化剤として用いられる。遷移元素のイオンは有色の物が多く、錯イオンになる物もある。

Cr3+

Mn2+

Fe2+

Fe3+

Co2+

Ni2+

Cu2+

CrO42-

Cr2O72-

MnO4-

淡赤

淡緑

橙赤

赤紫



2)遷移元素とその化合物

鉄とその化合物

鉄の単体は赤鉄鉱(主成分Fe2O3)や磁鉄鉱(主成分Fe3O4)とコークス(C),石灰石CaCO3を溶鉱炉に入れ、熱風を送ると、コークスが一酸化炭素COになり、Fe2O3やFe3O4を還元することで得られる。ここで得られた鉄を銑鉄といい炭素が3~5%含まれている。これを、転炉に移して酸素を吹き込むと、炭素分がCO2となって抜け、0.04~0.25%の鉄になる。これを鋼という。

Fe2O+ 3CO → 2Fe + 3CO2↑ , Fe3O+ 4CO → 3Fe + 4CO2

  鉄はイオン化傾向が水素より大きいので、酸に溶けて鉄(Ⅱ)イオンFe2+になり、液は淡緑色になる。Fe2+は酸化されて鉄(Ⅲ)イオンFe3+になりやすく、液はしだいに褐色になってくる。鉄のイオンはさまざまな陰イオンと反応して沈殿したりする。これらの反応は鉄イオンの検出に用いられる

陰イオン

OH

[Fe(CN)63-

[Fe(CN)64-

SCN

 

Fe2+淡緑色

淡緑色沈殿

濃青色沈殿

白色沈殿

変化なし

 
 

Fe3+黄褐色

赤褐色沈殿

褐色溶液

濃青色沈殿

赤色溶液

 
 

[Fe(CN)63- ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸イオン

[Fe(CN)64- ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸イオン

SCN チオシアン酸イオン

 

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銅とその化合物

銅はイオン化傾向が水素よりも小さいので希塩酸や希硫酸などの酸とは反応しないが、硝酸や熱濃硫酸のような酸化力のある酸には溶ける。銅の化合物である

 

(濃硝酸)  Cu + 4HNO3 → Cu(NO3)2 + 2NO2 + 2H2O

(希硝酸)   3Cu + 8HNO3 → 3Cu(NO3)2 + 2NO2 + 4H2O

(熱濃硫酸) Cu + 2H2SO4 → CuSO4 + SO2 + 2H2O

 

硫酸銅(Ⅱ)CuSO4は通常は五水和物で青色の結晶である。これを加熱すると、白色粉末の無水硫酸銅(Ⅱ)になる。無水硫酸銅(Ⅱ)は水を反応させると再び硫酸銅(Ⅱ)CuSO4に戻るので、色の変化から、水の検出に用いられる。銅(Ⅱ)イオンCu2+も様々な陰イオンと反応する。





銀とその化合物

 銀の単体は銅と同様にイオン化傾向が水素よりも小さいので希塩酸や希硫酸などの酸とは反応しないが、硝酸や熱濃硫酸のような酸化力のある酸には溶ける。銀イオンAgも他の金属イオン同様、様々な陰イオンと反応する。水酸化物イオンOHとは水酸化物AgOHにはならず酸化銀Ag2Oとなる。これは、AgOHが不安定ですぐに脱水反応が起こり、Ag2Oとなる。

その他ハロゲンのイオン(ハロゲン化物イオン)と反応し、ハロゲン化銀を沈殿する。ハロゲン化銀には感光性があり、写真のフィルムに利用されている。フッ化銀AgFは他のハロゲン化銀と異なり、水に良く溶け感光性が弱い。酸化銀やハロゲン化銀も水酸化銅(Ⅱ)と同様にアンモニア水と反応して錯イオンであるジアンミン銀イオン(Ⅰ)イオン [Ag(NH3)2]+となる。

ハロゲン化物イオン

Cl

Br

ハロゲン化銀

AgCl

AgBr

AgI

淡黄



クロム,マンガンとその化合物

クロムCrの酸化数には+2,+3,+6の化合物があるが、最も安定なのは+3の状態であるCr3+である。酸化数が+6のものにはクロム酸カリウムK2CrO4やニクロム酸カリウムK2Cr2O7があり、ニクロム酸カリウムK2Cr2O7は酸性溶液中でCr3+になりやすいので、強い酸化剤である。

 

クロム酸カリウムK2Cr2O4は黄色の結晶で、水に溶かすと電離してクロム酸イオンCrO42-(黄色)を生じる。この溶液に酸(H+)を加えるとニクロム酸イオンCr2O72-(赤橙色)に変わる。この溶液に塩基(OH-)を加えると再びクロム酸イオンに戻り黄色に変わる。クロム酸イオンCrO42-はPb2+,Ag+,Ba2+と反応して沈殿を生じる。

2CrO42- + 2H+ → Cr2O72- + H2O

Cr2O72- + 2OH- → 2CrO42- + H2O

マンガンMnもいくつかの酸化数(+2~+7)があるが、酸性溶液中では+2の状態であるMn2+が最も安定である。そのため、過マンガン酸カリウムKMnO4(+7,黒紫色の結晶)や酸化マンガン(Ⅳ)MnO2(+4,黒色粉末)はMn2+となり酸化作用を示す。



3)金属イオンの沈殿反応

表で覚える

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② Clを加えると沈殿する金属イオン ・・・ Ag+,Pb2+  

PbCl2は熱湯に溶ける。

AgClは日光を当てると黒っぽい色に変色。また、AgClはアンモニア水に溶解し、錯イオンとなって、無色の水溶液になる。

③ OHによって沈殿しない金属イオン ・・・ K,Na+, Ba2+, Ca2+,

④ 過剰のNaOH水溶液に溶ける水酸化物 ・・・ Al(OH)3 ,Zn(OH)2

⑤ 過剰のアンモニア水溶液に溶ける水酸化物(Agの場合は酸化物) ・・・ Cu(OH)2 ,Zn(OH)2 , Ag2O

⑥ SO42を加えると沈殿する金属イオン ・・・ Ba2+, Ca2+,Pb2+

 ⑦ CO32によって沈殿しない金属イオン ・・・ Na+,K+

⑧ H2Sとの反応

  沈殿しないイオン ・・・ K,Na+,Mg2+,Al3+, Ba2+, Ca2+, NH4+

水溶液が中性・塩基性のとき沈殿するイオン ・・・ Fe2+,Zn2+(この他もあるがほとんど出ない)

水溶液が酸性でも(どんなときでも)沈殿するイオン ・・・ Pb2+, Cu2+, Ag+,

(この他はあまり出ない)

 ⑨ CrO42によって沈殿するイオン ・・・ Ba2+ ,Pb2+ ,Ag+

図で覚える

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 ☆ 表と図好きな方で覚える

 



4)金属イオンの分離  

 

金属イオンの沈殿反応を参考に考える。

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 HClを加える → Cl-を加える

 H2Sを通じる → S2-を加える

 NaOHを加える → OH-を加える

 (NH4)2CO3を加える → CO32-を加える