理系の雑学・豆知識

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典型元素の性質ⅰ(一族元素、二族元素)

1)周期表と元素の性質

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周期表の横の並びを周期、縦の並びを族という。 元素には原子番号という通し番号がついていて、横の並びは原子番号の順になっている。 同じ族の元素は、性質が似ているので、それぞれの族が1つのグループになっている(3族~11族は例外)。そのため、縦の順番で覚えることも重要。特に1,2,17,18族にはそれぞれアルカリ金属,アルカリ土類金属,ハロゲン,希ガスという名前(グループ名)がついている。

 

青線で囲んだ部分を遷移元素、それ以外を典型元素という。また、ピンクの部分は、すべて、非金属元素、それ以外は金属元素である。

 

常温での単体の状態 

単体が常温で液体のもの : Br,Hg

   単体が常温で気体のもの : 希ガス,F,Cl,O,N,H

  単体が常温で固体のもの : 上記以外の元素の単体

周期表と元素の性質

イオン化エネルギー

原子から、電子を取り去って陽イオンにするのに必要なエネルギー。周期表で右上にあるもの程大きい。つまり、右上にあるもの程、陰性が強く、陽イオンになりにくい(陰イオンになりやすい)。逆にいえば、左下にあるもの程、陽性が強い(陽イオンになりやすい)。

 

電気陰性度

原子が共有結合する際の共有電子を引きつける力の度合い。希ガスを除いて周期表で右上にあるもの程大きい。

 

2)1族元素(アルカリ金属)

(アルカリ金属 ・・・ Li,Na,K,Rb,Cs,Fr)→Hを除く

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単体の性質

 アルカリ金属は最外殻電子(価電子)が1個なので、1価の陽イオンになりやすい。そのため、反応性が大きく、色々なものと反応する。例えば、空気中では速やかに酸化され、また水とは激しく反応して水素を発生する。そのためアルカリ金属の単体は石油中で保存する。同じアルカリ金属内では、より外側の電子殻を最外殻とするものが、より大きな反応性を示す。また、アルカリ金属やアルカリ土類金属および銅の単体・イオンを炎の中に入れると、炎の色が元素特有の色になる。これを炎色反応という。

 

① 4Na + O2 → 2Na2O  ② 2Na + 2H2O →  2NaOH + H2

 ③ より外側の電子殻にある電子は、原子核からより離れているので、外側の電子殻にある電子ほど、原子核の支配を受けない。反応は最外殻の電子のやり取りによって起こるので、アルカリ金属内ではより外側の電子殻が最外殻になるCsが最も反応性が大きくなる。

 ④ それぞれの元素の炎色反応の色を覚える。

Li赤  ,Na黄 ,K紫 ,Ca橙     ,Cu緑 ,Sr紅  ,Ba緑

   リアカー  無き  K村  加藤(は)    動力   するべ~  馬力

 

化合物の性質

 アルカリ金属の化合物には酸化物・水酸化物・炭酸塩・炭酸水素塩・硫酸塩など様々なものがある酸化物は水に溶かすと水酸化物を生じる。水酸化物の水溶液は強い塩基性を示す。

水酸化物であるNaOHは水分をよく吸収するので、空気中に放置しておくと、空気中の水分をも吸収して、その水分で自らが溶けてしまう。この性質を潮解性という。水酸化物は固体でも水溶液でも二酸化炭素をよく吸収し、炭酸塩をつくる

炭酸塩であるNa2CO3は通常、結晶中にH2Oを10分子を含んでいて、Na2CO3・10H2Oで示される。この水を結晶水という。結晶水は加熱などにより、結晶中から抜けるが、Na2CO3・10H2Oは空気中に放置すると、自然に結晶水が抜けて、結晶が崩れて粉末となる。この性質を風解性という。アルカリ金属の炭酸塩は安定で、加熱しても分解せず融解する。炭酸塩に対して、炭酸水素塩は加熱すると分解して炭酸塩になる。炭酸ナトリウムは工業的にはアンモニアソーダ法によって製造されている。

 

⑤ 酸化物:O2-とNa+やK+との化合物   水酸化物:OH-とNa+やK+との化合物

炭酸塩:CO32-とNa+やK+との化合物  炭酸水素塩:HCO3-とNa+やK+との化合物

硫酸塩:SO42-とNa+やK+との化合物

⑥ Na2O + H2O → 2NaOH  ⑦ 2NaOH + CO2 → Na2CO3 + H2O

⑧ 2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O

⑨アンモニアソーダ法(ソルベー法)・・・炭酸ナトリウムの工業的製法

塩化ナトリウムと石灰石(炭酸カルシウム)を原料とし炭酸ナトリウムを作る方法。

原理:a 塩化ナトリウムの飽和水溶液にアンモニアと二酸化炭素を通じると、比較的溶解度の小さい炭酸水素ナトリウムが沈殿する。

NaCl + NH3 + CO2 + H2→ NaHCO3↓ + NH4Cl ・・・ⅰ)

b この沈殿を集めて焼くと、炭酸ナトリウムが得られる。

2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2↑+ H2O ・・・ⅱ)

c 再利用の過程

ⅱ)式の反応で生じたCO2は再びⅰ)式の反応に利用されるが、不足するときは石灰石CaCO3を焼いて作られる。 

CaCO3 → CaO + CO2↑・・・ⅲ)

ⅰ)の反応で生じた塩化アンモニウムNH4Clはⅲ)式で生じる酸化カルシウムから作った水酸化カルシウムと反応させてアンモニアを回収し、再びⅰ)

式の反応に利用する。  

CaO + H2→ Ca(OH)・・・ⅳ)

        2NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2H2O + 2NH3 ・・・ⅴ)

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3)2族元素(Be,Mg,アルカリ土類金属)

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単体の性質

 2族元素は性質の異なる2つのグループからなり、Be,Mgに対してCa,Sr,Ba,Raをアルカリ土類金属という。2族元素は最外殻電子(価電子)が2個なので、2価の陽イオンになりやすい。反応性は大きいがアルカリ金属に比べると小さい。反応性はアルカリ金属と同様に原子番号が増加するほど反応性に富む。Be,Mgとアルカリ土類金属を比べると、アルカリ土類金属はアルカリ金属と同様の反応をするが、Be,Mgはこれとは異なった反応をする。例えば、アルカリ土類金属は常温の水と反応し、水素を発生するが、Be,Mgは常温の水とは反応しない。ただし、Mgは沸騰水とは反応する

 

① Ca + 2H2O → Ca(OH)2 + H2   ② Mg + 2H2O → Mg(OH)2 + H2

 

  Be,Mgとアルカリ土類金属の比較

 

常温の水との反応

酸化物の性質

水酸化物の性質

硫酸塩の性質

炭酸塩の性質

炎色反応

Be, Mg

あまり反応しない

水とわずかに反応

水に溶けにくい

水に溶けて電離

水に溶けにくい

示さない

アルカリ土類金属

激しく反応する

水と激しく反応

水に溶け、強アルカリ性を示す

水に溶けにくい

水に溶けにくい

示す



カルシウムの化合物

 カルシウムの主な化合物である酸化カルシウムCaOは生石灰ともいわれ、白色の塊状で融点が高い。塩基性酸化物であり、水と激しく反応して、多量の熱を発生する。そのため、乾燥剤として用いられる。また、酸化カルシウムと水酸化ナトリウムの混合物をソーダ石灰といい、これも乾燥剤として用いられる。コークスとともに強熱すると、炭化カルシウム(カーバイト)と一酸化炭素が生成する

 水酸化カルシウムCa(OH)2は消石灰ともいわれ、白色固体で、水に少し溶け、水溶液は石灰水とよばれ強塩基性を示す。石灰水は二酸化炭素を吹き込むと、水に不溶の炭酸カルシウム炭酸カルシウムCaCO3の沈殿が生じるが、さらに、CO2を吹き込むと、水に可溶の炭酸水素カルシウムCa(HCO3)2に変化するので、白濁は消え、無色透明の溶液になるさらに加熱すると再び白濁する。天然でも、岩山の割れ目に、二酸化炭素が溶け込み、石灰石がこの反応によって、溶けて洞穴ができる。これが鍾乳洞である。つまり、鍾乳洞の主成分は炭酸水素カルシウムである。水酸化カルシウムは約600℃に加熱すると水を失って酸化カルシウムになる

炭酸カルシウムCaCO3は石灰石,大理石などの主成分として、また、貝殻,サンゴ,卵殻などの成分として自然界に広く分布する。水には不溶だか、CO2を含む水には溶ける炭酸より強い酸と反応させると、CO2を発生する。また、加熱により分解して二酸化炭素を発生する

硫酸カルシウムCaSO4のニ水和物CaSO4・2H2Oをセッコウという。セッコウを加熱すると、結晶水がとれてCaSO4・H2Oとなり、これを焼セッコウという。焼セッコウに水を加えると、セッコウに戻る。また、硫酸バリウムBaSO4は水に溶けにくく、酸にも安定である。このため、X線の造影剤に用いられる。



③ 金属の酸化物を塩基性酸化物といい、非金属の酸化物を酸性酸化物。その他、両性元素の酸化物を両性酸化物といった。酸・塩基のところでやった。

  ④ CaO + H2O → Ca(OH)2   ⑤ CaO + 3C → CaC2 + CO

  ⑥ Ca(OH)2 + CO2 + → CaCO3 + H2O   ⑦ CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2

  ⑧ Ca(HCO3)2 → CaCO3 + CO2 + H2O (⑦の逆)

  ⑨ Ca(OH)2 → CaO + H2O (④の逆)   ⑩ (⑦と同じ反応)

  ⑪ 弱酸の遊離 : 弱酸の塩に強酸を反応させると、弱酸が遊離して強酸が塩になる。

    CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + CO2 + H2O

⑫ アルカリ金属の炭酸塩ではおこらない。

      CaCO3 → CaO + CO2

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4)両性元素〔Zn(12族),アルミニウム Al(13族),スズSn・鉛Pb(14族)〕

単体および化合物の性質 (両性元素はああすんなりと覚えよう

 典型元素の金属元素の中で亜鉛Zn ,アルミニウム Al ,スズSn ,鉛Pbは両性元素とよばれ、これらの金属の単体は、酸とも塩基とも反応する

Alは塩酸や希硫酸には溶けるが、濃硝酸・熱濃硫酸には溶けない。濃硝酸・熱濃硫酸のように強い酸化力を持つ酸と反応すると、金属の表面が酸化され、生成する酸化物Al2O3が表面をコーティングする。この表面の酸化物を酸化被膜といい、Alの場合はこの被膜が緻密なため、内部を保護してしまうため反応しなくなる。このような状態を不動態という。

アルミニウムや亜鉛の酸化物 ,水酸化物も単体同様、酸・塩基と反応する



① 酸,塩基のどちらと反応しても水素を発生する。

Al 

      2Al + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2

      2Al + 2NaOH + 6H2O → 2Na[Al(OH)4] + 3H2↑ 

Zn 

      Zn + 2HCl → ZnCl2 + H2↑ 

      Zn + 2NaOH + 2H2O → Na2[Zn(OH)4] + H2↑ 

② 単体のときとできるものは同じ(AlCl3 ,Na[Al(OH)4]など)。ただし、水素の発生はない。

 

HCl

NaOH

 

Al2O3

  Al2O3 + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2O

 Al2O3 + 2NaOH + 3H2→ 2Na[Al(OH)4] 

 
 

Al(OH)3

Al(OH)3 + 3HCl → AlCl3 + 3H2O

Al(OH)3 + NaOH → Na[Al(OH)4

 

ZnO

ZnO + 2HCl → ZnCl2 + H2O

ZnO + 2NaOH + H2O →Na2[Zn(OH)4] 

 
 

Zn(OH)2

Zn(OH)2  + 2HCl → ZnCl2 +2H2O

Zn(OH)2 + 2NaOH →Na2[Zn(OH)4] 

 
 

 * Na[Al(OH)4] テトラヒドロキソアルミン酸ナトリウム  

   Na2[Zn(OH)4] テトラヒドロキソ亜鉛(Ⅱ)酸ナトリウム

 

イオンの反応

Al3,Zn2を含む水溶液にNaOH水溶液を加えていくと、初め白色沈殿を生じるさらにNaOH水溶液を加えると、沈殿とOHが反応し沈殿が溶ける

 また、Al3,Zn2を含む水溶液にNH3水溶液を加えていくと、NaOH水溶液と同様に、初めは白色沈殿を生じるさらにNH3水溶液を加えると、Zn2の沈殿は溶けるが、Al3の沈殿は溶けない

 Pb2は様々な陰イオンと反応して、沈殿をつくる



③,④

NaOH水溶液(Na + OH)を加えていくと、初めはOHと反応し水酸化物の白色沈殿を生じる。さらにNaOH水溶液を加えると、沈殿とOHが反応し沈殿が溶ける。

 

初め

過剰のNaOH水溶液

 

Al3+

 Al3++3OH→ Al(OH)3 

 Al(OH)3 + OH → [Al(OH)4] 

 
 

Zn2+

Zn2++2OH→Zn(OH)2 

Zn(OH)2 + 2OH → [Zn(OH)4]2 

 
 

⑤,⑥

NH3水溶液(NH3 + H2O → NH4+ OH)を加えていくと、初めはOHと反応し水酸化物の白色沈殿を生じる。さらにNH3水溶液を加えると、Zn2の沈殿だけはNH3そのものと反応し沈殿が溶ける。

 

初め

過剰のNH3水溶液

 

Al3+

Al3++3OH→Al(OH)3 

Al(OH)3は反応しない

 
 

Zn2+

Zn2++2OH→Zn(OH)2 

Zn(OH)2 + 4NH3 → [Zn(NH3)4]2+2OH-

 
 

*[Zn(NH3)4]2+ テトラアンミン亜鉛(Ⅱ)イオン

 ☆  [Al(OH)4],[Zn(OH)4]2,[Zn(NH3)4]2を錯イオンという。またその塩(Na[Al(OH)4],Na2[Zn(OH)4])などを錯塩という。

試薬

イオン反応式

沈殿の色

Cl-

Pb2 + 2Cl → PbCl2

SO42-

Pb2+ SO42- → PbSO4

CrO42-

Pb2+ CrO42- → PbCrO4

S2-

Pb2 + S2- → PbS↓

"OH-

Pb2 + OH- → Pb(OH)2
















その他

・アルミニウムの粉末と酸化鉄(Ⅲ)の混合物をテルミットという。マグネシウムリボンで点火すると、多量の発熱をともなって反応するので、溶接などに利用される。

  2Al + Fe2O3 → Al2O3 + 2Fe

・アルミナ : 酸化アルミニウムをアルミナともいう。

・ミョウバン : KAl(SO4)2・12H2O

   ミョウバンを水に溶解すると次のように電離する。

   KAl(SO4)2・12H2O → K+ + Al3+ + SO42- + 12H2O

SO42-に対して2種類の陽イオンK+ とAl3+がイオン結合した形の塩である。このような塩を複塩という。

 

5)炭素・ケイ素とその化合物

炭素とケイ素の単体

炭素とケイ素はともに14族に属し、最外殻電子(価電子)が4個の非金属元素である。最外殻電子が4個のため、イオンにはならず、主として共有結合で化合物をつくる。

炭素の単体にはいくつかの同素体(同一の元素からなる単体で、性質の異なるもの)がある。ダイヤモンド,黒鉛,無定形炭素などがある。ダイヤモンドと黒鉛の結晶の模式図を下に示す。

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ダイヤモンドは4つの価電子全てを用いて他の炭素原子4個と共有結合している。そのため、正四面体構造がいくつも重なり合った結晶となり非常に硬くなる。     一方、黒鉛は3個の価電子を用いて他の炭素原子3個と共有結合している。そのため、平面で炭素6個が正六角形構造を形成して、その平面構造がいくつも重なり合った結晶となる。平面構造どうしは互いに分子間力(共有結合に比べるとはるかに弱い結合)によって結合しているため、タイヤモンドよりも柔らかい結晶となる。また、黒鉛は炭素原子が価電子を1個余らせている。この余った価電子が金属結合の自由電子のようなはたらきをするため、電導性が生じる。

また、最近C60,C70などの分子式を持った球状の分子からなる炭素の同素体も発見され、これらはフラーレンとよばれ、いろいろと調べられている。

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ケイ素は炭素と同族で、最外殻電子(価電子を)4個持っており、Si原子がダイヤモンドと同様の構造をした結晶である。しかし、ダイヤモンドの共有結合よりも結合力が弱く、光や熱によって結合の一部が切れ、そこで生じた不対電子が、自由電子のようにはたらくので、条件によって電導性を生じる。このため、ケイ素は半導体として用いられる。



炭素の化合物

 炭素の主な化合物には一酸化炭素と二酸化炭素がある。

 

一酸化炭素 CO

二酸化炭素 CO2

 

毒性

有毒

無毒

 

可燃性

空気中で燃えて、CO2になる

燃えない

 
 

水への溶解性

溶けにくい

水に溶けて酸性を示す

 
 

石灰水との反応

石灰水には吸収されない

白濁する

 
 

 

① 血液中のヘモグロビンと結合して、中毒を起こす。

② 2CO + O2 → 2CO2  

③ 非金属の酸化物は酸性酸化物 (「酸と塩基4)酸化物」を参照)

④ Ca(OH)2 + CO2 + → CaCO3 + H2O (炭酸カルシウムの白色沈殿)

 

ケイ素の主な化合物

二酸化ケイ素SiO2は石英(ガラス),ケイ砂,水晶の主成分で、SiO2の正四面体構造が、繰り返し結合した形である。Si原子が正四面体の中心にあり、その頂点にO原子が結合する。これはSiO2の繰り返しで、立体網目構造の(SiO2nの構造をした高分子化合物である。化学的には安定で、NaOH,Na2CO3などを加えて加熱すると反応し、またフッ化水素HFの水溶液には溶けるが他の試薬とはほとんど反応しない。

ケイ酸ナトリウムNa2SiO3に水を加えて熱すると、無色透明で粘性の大きな液体が得られる。これを水ガラスという。水ガラスに酸を加えると、弱酸であるケイ酸H2SiO3が白色のゲル状の沈殿として遊離する。ケイ酸H2SiO3は、実際にはSiO2とH2Oが種々の割合で結合したものと考えられ、一般には(SiO2m・nH2Oの組成で表される。ケイ酸は水には溶けず、加熱して脱水すると、残ったSiO2が多孔質に変わる。これをシリカゲルといい、水蒸気や他の気体を吸着するので、除湿剤や吸着剤として用いられる。

 

  ⑤ SiO2 + 2NaOH → Na2SiO3 + H2O           

SiO2 + Na2CO3 → Na2SiO3 + CO2

*Na2SiO3 ケイ酸ナトリウム

⑥ SiO2 + 6HF → H2SiF6 + 2H2O

*H2SiF6 ヘキサフルオロケイ酸

⑦ Na2SiO3 + 2HCl → H2SiO3 + 2NaCl



6)窒素とリン

単体の性質

窒素NとリンPはともに15族に属す非金属元素である。最外殻電子(価電子)が5個であり、イオンになりにくく、他の原子との結合は一般に共有結合になる。窒素N2は無色・無臭の気体で、気体の体積の約80%を占める。工業的は、液体空気の分留によって得られる。

   リンの単体には同素体が存在する。その1つである黄リンは淡黄色のロウ状の固体で、発火点が低く(約60℃)、水中で保存する。また、猛毒である。一方、赤リンは暗赤色の粉末で、発火点は約260℃と安定で、無毒である。赤リンはマッチ箱の側薬の成分である。次に黄リンと赤リンをまとめてある。

名称

分子式

常温・上圧での状態(色)

発火点

毒性

 
 

黄リン

P4

ロウ状固体(淡黄色)

約60℃

有毒

 
 

赤リン

巨大分子

粉末(暗渇色)

約260℃

なし

 
 

 

① 液体の空気(液体のO2とN2の混合物)を蒸留装置に入れ、常温で放置すると、沸点の低いN2(-196℃)の方が蒸発しやすいので、初めに出てくる気体にはN2が多く含まれ、一方、残った液体には沸点の高いO2と(-183℃)が多く含まれる。液体どうしの混合物を蒸留することを分留といい、分留を何回か繰り返すと、O2とN2を分けることができる。



窒素の化合物の性質1 アンモニア

アンモニアNH3は刺激臭のある無色の気体で、水に非常に良く溶け、弱塩基性を示す空気よりも軽い。水に溶けやすく、空気より軽いので、アンモニアを集めるときは上方置換で集める。実験室では、塩化アンモニウムNH4Clに強塩基を作用せせる。工業的にはハーバー・ボッシュ法により、高温・高圧状態で水素と窒素を直接反応させる濃塩酸を近づけると塩化アンモニウムNH4Clの白煙を生じる(アンモニアの検出法)。

 ② NH3 + H2O → NH4+ + OH-

 空気よりも軽い気体 → H2,NH3,He,Ne

④ NH4Cl + NaOH → NH3 + H2O + NaCl

⑤ N2 + 3H2 → 2NH3  ⑥ NH3 + HCl → NH4Cl

 

窒素の化合物の性質2 硝酸

硝酸HNO3は酸化作用が強く、イオン化傾向が水素よりも小さいCuやAgを溶かしニ酸化窒素や一酸化窒素を発生する。AlやFeは濃硝酸には不動態を形成するので溶けない。濃硝酸と濃塩酸を体積比1:3で混合した溶液を王水といい、白金や金も溶かす。硝酸は工業的にオストワルト法によって製造される。

⑦(濃硝酸) Cu + 4HNO3 → Cu(NO3)2 + 2NO2 + 2H2O

(希硝酸) 3Cu + 8HNO3 → 3Cu(NO3)2 + 2NO + 4H2O

⑧ NOとNO2

 

水への溶け方

 

一酸化窒素NO

無色

水に溶けにくい

 
 

二酸化窒素NO2

褐色

水に溶けてHNO3を生じ、酸性を示す。                       3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO

 
 

 

⑨ オストワルト法

NH3と空気の混合物を、加熱した白金(触媒)に触れさせて、NOを作る。

      4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O

NOを空気に触れさせて、NO2とする。  

      2NO + O2 → 2NO2

NO2を水に溶かしてHNO3を作る。 

3NO2 + H2→ 2HNO3 + NO

リンの化合物

五酸化二リンP4O10は十酸化四リンともいい、白色粉末で、吸湿性が強く乾燥剤や脱水剤として用いられる。リン酸H3PO4は室温で固体の比較的弱い酸で、潮解性があり、水に溶けて酸性を示す。五酸化二リンP4O10を水に溶かして煮沸するとリン酸ができる

⑩ P4O10 + 6H2O → 4H3PO4 

リン酸塩は植物の育成に必要なものの一つで、農作物などは、肥料という形で人工的に与えられる。リン酸塩としては、天然に存在するリン鉱石の主成分であるリン酸カルシウムCa3(PO4)2がある。リン酸カルシウムは水に不要なので、肥料にするには硫酸を加え可溶性のリン酸二水素カルシウムCa(H2PO4)2に変えなければならない。このリン酸二水素カルシウムと硫酸カルシウムの混合物を過リン酸石灰という。

Ca3(PO4)2 + 2H2SO4 → Ca(H2PO4)2 + 2CaSO4