理系の雑学・豆知識

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化学と人間生活

1 化学の誕生と進歩 

 化学とは物質を取り扱う学問である。物質とは水、二酸化炭素、金属、ガラス、プラスチックなどの物体を作っている材料で、人類の文明は新しい物質を作り出して発展してきた。また、物質を構成する要素を元素という。例えば、 物質である水(H2O)を構成する元素は水素(H)と酸素(O)である。物質を今日の生活には様々な物質が存在するが、化学の誕生は紀元前までさかのぼる。

 

項目

年代

内容

四元素説

紀元前

古代ギリシャでの元素についての考え方で、「物質は、土、火、水、空気の4つの元素からなる。」というもの。

錬金術

0~1700

鉛などの卑金属を金などの貴金属に変える試み。錬金術自体は失敗に終わったが、操作技術や製造技術が進んだ。

元素概念

1700~1800

多くの物質から、水素や酸素など約30種類のものが発見され、ラボアジエがこれらを「物質を構成する基本要素」として元素の概念を確立した。

原子説

1800~1900

「物質は、それ以上分割できない基本粒子からなる」という概念。ドルトンにより提唱された。

分子説

原子説では生じてしまう矛盾を解消するため、アボガドロによって提唱された。いくつかの原子が結合してできた粒子(これを分子という)が存在するとう説。

物質の合成・製法

尿素の合成(ウェラー)、炭酸ナトリウムの合成(ソルベー)、硫酸の製造(ウィンクラー)、硝酸の製造(オストワルト)、ダイナマイトの発明(ノーベル)など様々な物質が作られた。

法則・原理の発見

電気分解の法則(ファラデー)、総熱量保存の法則(ヘス)、周期表(メンデレーエフ)など。

発明

乾電池(ルクランシェ)、ダイナマイト(ノーベル)など。

原子構造の解明

1900~

電子の存在の確認(J.J.トムソン)、原子核の発見(ラザフォード)、原子模型の樹立(ボーア)により原子の構造が解明された。

合成化学の進歩

合成高分子の製造、DNA(遺伝子の本体)の構造解明など。

 

2 生活と化学 

1)金属 

① 金属の性質

 金属には次のような特有の性質がある。

・展性(薄く平らに広げられる性質)がある。

   ・延性(細く伸ばすことができる性質)がある。

   ・伝導性(電気や熱をよく導く性質)が大きい。

   ・特有の光沢(金属光沢という)がある。

② 超伝導

金属の中には、ある温度以下では電気抵抗がゼロになるものがあり、この現象を超伝導という。その物質が環状であれば、電場を切っても永遠に電気が流れる。この性質は超電磁石として医療機器やリニアモーターカーに利用されている。

 

③ 合金

2種類以上の金属を溶かし合わせたものを合金という。合金にすることにより、もとの金属にない優れた性質を持つようになり、色々なところで利用されている。

  表.主な合金

合金名

特徴

用途

組成(%)

黄銅

(しんちゅう)

丈夫・加工性大・美しい

装飾品・加工材

Cu(60~90),

Zn(10~40)

ジュラルミン

軽い・丈夫・加工性大

航空機の機体

Al(94),Cu(5),

残りMg,Mn

ステンレス鋼

さびない・耐薬品性大

建造物・器具

Fe(70),Cr(20),Ni(10)

ニクロム

電気抵抗大、耐酸化性大

電熱線

Ni(57~79),

Cr(15~20),その他

白銅

加工性大

貨幣

Cu(80),Ni(20)

青銅

硬い・美しい

銅像・機械

Sn(2~35),残りCu

はんだ

低融点・金属になじむ

金属の溶接

Sn(25~90),残りPb

④ めっき

 金属の表面を、腐食しにくい金属で覆う方法をめっきという。

 表.鉄にめっきをしたものの例

めっきの種類

金めっき

クロムめっき

亜鉛めっき

スズめっき

用途

食器・装飾品

水道栓

トタン

ブリキ

⑤ レアメタル(希少金属)

 鉄、亜鉛、アルミニウム、銅、銀、金などの流通量の多い金属以外で、リチウム、インジウム、チタン、タングステンなどの流通量が少ないが、利用価値の高い金属をいう。発光ダイオード、電池、超伝導材料、光触媒などの材料に用いられる。

 

⑥金属のリサイクル

 金属は資源であり、限りがある。また、省エネルギーの観点からも、再利用(リサイクル)をすることが望ましく、今日ではリサイクルの技術も発達している。廃棄された工業製品には、レアメタルや金などが含まれており、これらの廃棄物を鉱山に見立て都市鉱山という。

 

2)プラスチック 

① プラスチックの特徴と用途

 プラスチックは石油から取り出された物質を原料にしている。この原料となる物質を多数結合(重合という)させると、高分子と呼ばれる物質になる。この高分子がプラスチックで、加工しやすい、水や薬品に強い、腐食しない、電気を通さないといった特徴がある。代表的なプラスチックには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート(PET)、発泡ポリスチレンなどがある。

プラスチック名

用途

ポリエチレン

ラップ、フィルムなどの包装材料。

ポリプロピレン

キャップ、トレイなどの容器。

ポリ塩化ビニル

水道管、雨樋など。

ポリエチレンテレフタラート

ペットボトルなど。

発泡ポリスチレン

食品用トレイなど。

 

② プラスチックのリサイクル

プラスチックは、「軽く・強く・腐らず・さびない」という利点がある。そのため、自然界に残ったプラスチックは、土壌中で分解されず河川や海洋に流出され生物に危害を及ぼす。また、燃焼の際、一酸化炭素や塩化水素などの有毒ガスが発生する危険性がある。このため、発生するガスの浄化処理が必要となる。塩素原子を含んだプラスチックからは、有毒なダイオキシンが発生しやすい。その他、石油資源の有効利用,ゴミ問題の観点から、プラスチックの再利用(リサイクル)は重要課題であり、現在、以下のような方法がとられている。

 

リサイクル

方法

製品リサイクル

製品をそのまま再利用する。もっとも望ましい方法である。

マテリアルリサイクル

加熱形成し直して、再利用する。

ケミカルリサイクル

原料まで分解し、それを再利用する。

サーマルリサイクル

燃料として利用する。

 

3)その他の材料と複合材料

① セラミックス

本来、セラミックスとは土器・陶器・磁器といった「やきもの」を意味した。今日では、非金属元素の固体材料を意味する。陶磁・セメント・ガラスが例である。

 

陶磁

 粘土を水でこね、ろくろなどで成形する。十分乾燥すると水分が90%除かれる。その後、約700℃で焼く(素焼きという)と、水分がほとんど除かれる。さらに、釉薬(うわぐすりともいい、色々な金属の化合物からなる顔料)を塗り約1300℃で焼き(本焼きという)、ゆっくり冷やす。この課程を経て磁器ができあがる。磁器は硬く、水にとけない。これは、焼くことにより粘土の成分が部分的に融け、粘土粒子が接着して固まること(焼結という)による。

   表.陶磁の種類

種類

土器

陶器

磁器

原料

粘土

粘土+石英

粘土+石英+長石

焼成温度(℃)

700~900

1100~1300

1200~1500

機械的強度

やや劣る

中間

優れている

焼き締まり

多孔質

多孔質

ガラス質

打音

濁音

濁音

金属音

吸水性

なし

釉薬

なし

塗布してある

塗布してある

用途

れんが,瓦,植木鉢など

食器,タイル,茶器,衛生用品,つぼ など

高級食器,高級タイル,装飾品など

セメント

 2つの物体を貼り合わせるものをセメントという。一般に建築材料として使われるセメントは、ポルトランドセメントである。これは、石灰岩(炭酸カルシウムCaCO3),ケイ酸質粘土(二酸化ケイ素SiO2などが主成分),酸化鉄(Fe2O3)を粉砕し混ぜ合わせ、回転釜で約1500℃に加熱・焼結させた焼結体に少量のセッコウ(硫酸カルシウムCaSO4・H2O)を加えて微粉砕した混合物である。セメントに水を加えると硬化する。セメントに砂利と砂混ぜたものをコンクリート、セメントに砂を混ぜたものをモルタルという。コンクリート圧縮には強いが、引っぱりには弱い。そこで、その逆の性質を持つ鋼と組み合わせ、互いの弱点を補った建築材料が鉄筋コンクリートである。

 

ガラス

 ガラスは二酸化ケイ素SiO2が三次元的にいくつも結合した固体である。この固体では、SiO2の配列が結晶でみられる規則性がない。このような粒子の配列に規則性のない固体を非晶質(アモルファス)という。

 

② 機能性材料

 プラスチック、金属、セラミックスなどの材料を組み合わせて新しい機能を持たせた素材。

 

ファインセラミックス

 従来のセラミックスは、さびない・硬い・熱に強いという長所があるが、もろい・温度変化に弱い・加工しにくいという欠点がある。そこでこの欠点を除くため、精製した原料や人工的に合成した原料(炭化ケイ素SiC,窒化ケイ素Si3N4)を用いた製品をファインセラミックスといい、IC(集積回路)の基板,ガスタービンやエンジン,人工骨や人工関節,など、幅広く利用されている。

 

光ファイバー

 通信や胃カメラに使われる光ファイバーは、高純度の石英ガラスを主体としている。中心部の屈折率を周囲部より大きくし、端から入った光が壁から逃げないように工夫されている。光を内部に閉じこめて伝送できるようにした繊維である。

 

複合材料

・繊維補強プラスチック(FRP,強化プラスチック)

 ガラス繊維、炭素繊維などで織った布をプラスチックに塗り固めた素材。スキー板,テニスラケットなどに用いられる。  

 

・繊維強化金属(FRM)

セラミック繊維,金属繊維にアルミニウム,マグネシウム,チタンなどの金属を組み合わせた素材。航空機部品などに用いられる。

 

4)セッケンと合成洗剤

セッケンは油脂を原料にしてつくられ、構造中に水に溶けにくい疎水性の部分と水に溶けやすい親水性の部分がある。セッケンのように親水性の部分と疎水性の部分の両方をもつ化合物を界面活性剤という。

セッケンを水に溶かすと、疎水性部分を内側に、親水性部分を外側に集まり、比較的大きな粒子をつくる。この粒子をセッケンのミセルという。油は水には溶けないが、セッケン水を加えて振ると油は微細な小滴となって分散する。このような作用を乳化といい、この溶液を乳濁液という。また、乳化作用をもつ物質を乳化剤という。これは油分子がセッケンのミセル内に取り込まれるために起こる。

 

Ca2+やMg2+を多く含む水のことを硬水といい、セッケンはCa2+やMg2+と沈殿してしまうため硬水では使用できない。また、セッケンは塩基性を示す。これらを改良するために、アルコールや石油を原料としたものが合成洗剤である。合成洗剤はセッケンと同様に、疏水性の部分と親水性の部分をもつ。

 

5)食品添加物

 目的により、食品にはさまざまな物質が加えられている。これを食品添加物という。

食品添加物

主な品名

調味料

グルタミン酸ナトリウム,イノシン酸ナトリウムなど

酸味料

クエン酸,酒石酸,乳酸など

甘味料

ソルビット,アスパルテーム,キシリトール,ステビアなど

着香料

バニリン,メントール

保存料

ソルビン酸,安息香酸

酸化防止剤

アスコルビン酸(ビタミンC),トコフェロール(ビタミンE),カテキンなど

着色料

赤色3号(合成着色料),クロロフィル,β-カロテンカラメル色素など

増粘剤

ペクチン,セルロースなど

乳化剤

グリセリン脂肪酸エステルなど

発色剤

亜硝酸ナトリウム,硝酸カリウムなど